バイトの話
学生時代は3つのバイトを経験しました。
居酒屋、マスコミ事務、そして1番短かったけど1番濃厚だったのはバーでのバイトかな。
バーって言うとカッコ良すぎますね、ごめんなさい。オーナー曰く「ガールズバーとキャバの中間」、お客さんのお隣に座ってお酌なんかしてワイワイ話すやつです。キャバのように髪の毛セットしたりドレス着たりなんかはしなくて、あくまでも等身大の女の子を演出するために私服で働いておりました。在籍してるのはほぼほぼ女子大生(たまに副業として働きに来てる看護師さんとかいたけど、今思えば体力すごいな...)、それがそのお店のコンセプトだったみたいです。
楽なのに稼げるという学部の知り合いの勧めでその子が働いてる同じお店に紹介してもらいました。入店時に冒頭の「ガールズバーとキャバクラの中間...」の説明を渾々として頂いたわけですが、なんだかよく違いが分からないまま働いていました。正直今でもよく分かりません。普通にゆるくて楽しくて、でもそれが世間的にどんな目で見られてるかもよく理解してないまま、最終的には当時付き合ってた彼氏に辞めてほしいと言われて辞めたのですが。
本名で働くのは嫌だったので、好きなアニメの登場人物からあやかって「レイ」という源氏名を頂いてました。
年齢は40代オーバーばかりだったんだけど、本当にいろんなお客さんがいた。
無知でおバカな女子大生を貶すのが楽しい人もいれば、自分の趣味のギターをただただ褒めて欲しい人もいれば、とにかく甘えたい中学校教師(めちゃくちゃ真面目な人なんだろうけどずっと赤ちゃん言葉だった)もいた。性別や年齢で括れば近い人たちなんだろうけど、生活が違えばこんなに違うのね、と思うほど三者三様。
相手が求めてる「レイちゃん」がどんな人物かを想像して、相手が求めているであろう反応を返す。なんか女優にでもなった気分で、本来の自分じゃない自分を生きているみたいで楽しかった。相手からの反応もダイレクトに返ってくるので、今の「レイちゃん」が正しかったのか間違っていたのかがすぐ分かるのも面白かった。相手が楽しんでくれてたり、喜んでくれてたり、ほっとしてくれてたら、それはそれは嬉しかったです。
人間誰しも「リアル」だけで生きる必要はないと思う。抱えている思いや、悩みや鬱憤や、趣味嗜好や、その他なんだかんだを曝け出して楽しくなれる場所があってもいいわけです、違法じゃないならね。その場所がお客さんにとってはそのバーだったわけで、そこで働けたのは人間のある意味内側に触れるいい機会だったと思っています。
そんな経験を経て大卒後一般企業に就職したので、ちょっと怒ってるおじさん上司にもビビらなくなりました。(笑)